EXHIBITION [IMAGINE]

Art Book IMAGINE

IMAGINE コロナの中で愛を叫ぶ!ご観覧、ご視聴いただき本当にありがとうございました。おかげさまで無事に終了致しました。

コロナと言う厳しい状況の中、閉鎖的な空間で展開される個展の新しい形、新しい展示の方法を探りつつ、より広く楽しんで頂ける空間を作り上げる事が出来ました。

ライブ配信は有料と言う形での展示でしたが、3月24日から28日まで、今回の一部の作品と新作大型作品が展示される事が確定し、我々の想いが詰め込まれたアートブック(下記)も展示販売致します。

美術館にご来場出来なかった方々は後日詳細お知らせ致しますので、楽しみにお待ちください。写真はハウスクエア美術館内で描かれた、時と共に見え方の変わるHAL_&YONOAのライブペイント作品です。


EXHIBITION-IMAGINE [HAL_&YONOA]
ギャラリー展示&オンライン配信のハイブリッド絵画展
〜コロナの中で愛を叫ぶ!〜
2021/2/18〜28
http://pis.work/

今回の展示では図録[Artbook-IMAGINE]を制作販売します。一介のアーティストが個展に図録とは贅沢、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。実際、小ロット制作は高額です。それでも今回、あえて図録制作をすることに決めました。

今日は、何故図録を作るのか、その想いについて綴ります。

私は、20年以上前から、ディスプレイの中で、ビジュアル表現をはじめています。

当時は出版業界でもコンピューターデータを処理することは難しく、管面撮影と言うコンピューターの画面を直接カメラで撮影し、フィルム入稿していました。ようやくデジタル入稿が可能になった頃、私のはじめての絵本「ウニベルソ」を小学館から出版しました。

この頃は誰もがデジタルデータを印刷するための最善の方法を持っていなかったため、データの取り扱い使いを含め、試行錯誤しながら印刷ていました。ウニベルソの印刷はディスプレイに表示された色を出すために、通常のCMYKの四色印刷では無く、蛍光色を追加した五色で印刷するという離れ業とも言える印刷をしたと後から編集長に聞いた記憶があります。(絵本ウニベルソ)

その頃に比べ、現在は、とても手軽に画像を作ったり、映像配信が出来る時代になりました。
さらに、昨年から続くコロナ禍による影響でオンラインでの展示や映像配信が一般化しつつあります。その事で毎日ディスプレイを目にする時間が大幅に増えているため、私自身も目から入ってくる映像情報に無頓着になり、創作している作品に影響を与えているのでは無いかと言う恐れもでているくらいです。


私の絵画表現は、私の目を通して作られる、唯一無二の物です。
自分が創った色のままを展示したいというのは、長年私の想いであり、課題でもありました。ですから、デジタルデータの印刷に関しても、様々な企業さんと共に考え学んできました。

デジタルデータは数値で管理されているため、変化も劣化もありません。アナログの絵画作品をデジタル化した場合でも、一度デジタルデータになってしまえばその後の処理は、はじめからコンピューターで描いた作品でも同様です。

デジタルを介した作品制作は学生でも簡単に安価に制作出来る時代になって来ているにもかかわらず、多くの制作者がディスプレイで見る色と、紙に印刷した場合で、違う色になってしまって困るといいます。これは何故でしょう。

違う色になるのは印刷物だけではなく、ディスプレイでも紙同様に機種毎に違う色で表現されます。また、これは色に限ったことではありません。
最近は、皆さんもオンライン会議を行うようになったと思いますが、背景にどんな画像を仕込もうが人物のエッジは、崩れてしまいます。形が変わってしまうのです。はじめのうちは違和感を感じたとしても、次第に形の崩れに慣れて、その事を考えなくなってしまいます。

当初はグリーンバックを使っていた私も次第にアプリの機能に任せっぱなしになり、今では気にも留めなくなっています。色や形に対して、慣れから無頓着になることは、思考を低迷させる原因になり、クリエイティブな結果を残せなくなるるのではないかと、危惧しています。


現在、スマートフォンでの撮影はデジタルカメラが不要なほど綺麗になりました。ただし、画像が綺麗であることと、正確な色が再現できることは別物です。何故なら「きれい」とは主観でしかないからです。
今やSNSで投稿する写真は、画像加工が当たり前です。そこには発信する人の、こう見せたいというクリエイティブな気持ちが現れています。これらを「綺麗だな」と感じても、正確な色の表現とは違います。

デジタルデータは加工を繰り返せば繰り返すほど画質は落ちます。創作者はどうしても納得した作品を作るために加工を繰り返すことになります。そこで、元のデータには正確な色情報が必要になります。明るい部分が白く飛んでしまったり、暗い部分が真っ黒につぶれてしまったデータからは、後から自然で豊かな階調を持つ、新しいデータを作る事は出来ません。

明るい階調にフォーカスした撮影方法をとったデータと、暗い階調にフォーカスしたデータを同時に撮影し、合成してくれるHDR撮影をすれば明るい部分も暗い部分も、目で見たようなイメージデータに近い物は作る事は出来ますが、最終的な結果を撮影時に知る事はできません。

それだけでなく、同じ環境下での撮影であっても、機種によって結果が変わり、ディスプレイによって見え方が変わります。さらに、加工した時点で本来の色彩がどのような物かを知る術は無くなってしまいます。

私は、オンラインでの展示会を開催しているわけですが、本来デジタル環境での作品展示は観客にとってかなり不利な状況です。つまり「見てもらいたい色がそのまま、見た人に伝わっているか」がわからないからです。


こうした環境下での展示会にあたり、私は、創作者の思いを伝えるひとつの手段として、図録を制作するとことにしました。ただし、高精細なスキャニング画像から高精細な美術印刷するのではなく、「一般的なオンデマンド」サービスを利用します。  高精細オフセット印刷する事になりました!!
ただし、今回の図録[Artbook-IMAGINE]は、ここまで語ってきたような「正確な色の表現」がしたいわけではありません。

図録の印刷結果を念頭に置きながら制作し、展示作品に新たな加工を施し、また別の作品として、作者の想いを伝えるものにしたいのです。

ページ毎に作品を並べるだけの図録ではなく、これもまた、展示会の一部として制作します。「EXHIBITION-IMAGINE」の中の[Artbook-IMAGINE]という作品その物を、手元に置いてほしいのです。


「EXHIBITION-IMAGINE」は作品展示を楽しんで貰うだけではなく、場所や空間、時間、など、全体を作品として体験してもらいたい、と願うインスタレーションです。

作家がコロナ禍という環境内で創作した作品群によって、見た人が「愛」をイマジネーションする力を働かせる。そして手元に残る図録という作品を見るたびに、イマジネーションのきっかけとなる。そうなることでこの展示会は完結します。

まずは、オンラインで参加していただき、私達の想いを感じてください。
そして、図録が届いたら、[Artbook-IMAGINE]という一つの新たな作品を見ながら、「EXHIBITION-IMAGINE」を振り返っていただければ幸いです。

2021.02.19

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テーマの著者 Anders Norén